人生に「遅すぎる」なんてことは絶対ない 2009年4月新月号

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下半身不随で、路上生活するストリート・ミュージシャン達の音楽を、
あなたは想像できるでしょうか??

アフリカ・コンゴ民主共和国の首都キンシャサの動物園で暮らす、
路上生活者とストリート・チルドレンのグループ「スタッフ・ベンダ・ビリリ」を、
今日はご紹介させて下さい。

Youtubeにアップされた映像をみますと……
熱風で乾いた、動物園らしい広場に、
改造三輪車に乗った、独特な風情の男達が集まり、
唄い、ビートに身体を揺らしています。
暴走族の集会みたいな、
いかつい、アウトローな雰囲気も漂っている。

その音楽は、恐いくらいにたくましいパワー、
存在感、グルーブを持っていて、
古き良き西アフリカのパーム・ワイン・ミュージックのテイストから、
コンゴに流入した、ソンなどのキューバ音楽、
ジェームス・ブラウンのファンク、
オールドスクールなソウルやリズム&ブルースまで、
ブラック・ミュージックのエッセンスと「魂」を、
感じさせるものです。

「オレはかつてボール紙の上に寝ていたが、
ツキに恵まれてマットレスを買った

同じことが起こり得るんだ、お前にも、彼にも、彼らにも
人間には『再起不能』なんてことは絶対にない

お前にもチャンスが予告なしに訪れる可能性もある
人生に「遅すぎる」なんてことは絶対ない

いつの日かオレもひと花咲かせるから」

(「トンカラ」 スタッフ・ベンダ・ビリリのCD「屈強のコンゴ魂」から)


おそらくは世界最貧の国の、
路上生活者であり、
さらに身体障害者である彼らの、
音楽の持つ「強烈さ」「ポジティブさ」に、
私は今、ウレシク、打ちのめされています。
ウルウルウル……(男泣)。

こんなにも人間は「たくましさ」を持っているのだから、
生きることをあきらめては、いけない。
自分の根源のエネルギを信じるんだーーー
そんなメッセージが伝わって来るようです。

遠く離れているけれど、私達と同じ時代を、
こうして生きている人達が、たしかにいる。

「ベンダ・ビリリ」とは、
「外見の向こう側に目を向ける」
「隠されているものを、白日の下にさらけ出す」
ーーという意味があるらしい。

キンシャサには4万人以上の身寄りの無い、
「シェゲ」と呼ばれるストリート・チルドレンが暮らしている。
障害者でもある路上生活者達は、多数の「シェゲ」を助け・サポートして、
ひとつのコミュニティを形成し、暮らしているそうです。

エネルギーと自由とダンスと、
巨大な貧しさと混沌ーー
私にはどうしてか? 彼らが、
人類の未来を先取りしているようにも、感じられるのです。

ギリギリの状況の中でこそ、「裸の魂」があらわれる。
そして、「生きること」への根源的な信頼が、
芽吹くのではないでしょうか。

ーー人生に「遅すぎる」なんてことは絶対ない。

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また、キンシャサの街や現地のミュージシャンの様子は、
こちらの動画でもご覧になれます。
スタッフ・ベンダ・ビリリで自作の1弦楽器をあやつる、
ストリート・チルドレンの"ロジェ"も出演。

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●Jupiter's Dance in Kinshasa
http://www.youtube.com/watch?v=M7rwfy1k9no



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